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【開催レポート】第4回 JAC Recruitment合同 グローバル人材戦略セミナー

『ドイツにおける日系企業のマネジメント動向(採用/賃金/働き方)』

​2022年12月8日、今年第4回目となるグローバル人材戦略セミナーを実施いたしました。今回は、注目度が高まる欧州における中心的市場、ドイツをテーマとするウェビナーです。 (※動画リンクは、当ブログの下部をご覧ください。)

カーボンニュートラルに関連する様々なビジネスチャンスが拓かれる一方、ロシア・ウクライナ情勢を端緒とするエネルギー価格の高騰、それに伴う急激なインフレなど、欧州のビジネス環境が大きく変化している中、現地の求人・求職者動向にはどのような影響があるのか、またコロナ禍を経て働き方や職場選びの基準が多様化する中で、いかに”選ばれる会社”となるか、などについて、ドイツでの生活、ビジネス経験が豊富なJAC Recruitment Germanyダイレクターの草間が解説しました。

ドイツのビジネス環境

欧州各国と比較した際、圧倒的に日系企業の進出数が多いのがドイツとなります。
投資先としてドイツが選ばれる理由としては、「魅力的な市場」、「地理的優位性」、「優秀な⼈材」、「整ったインフラ」、「豊富なリスクマネー」などの魅力を挙げて説明されました。

昨今のドイツを取り巻く状況

まず特徴的なのは、ロシアによるウクライナ侵攻の影響によるエネルギー価格の高騰、それに伴う急激なインフレが日本企業の事業活動の足かせとなっている点です。特に、インフレに呼応した賃金上昇は、業界によっては6%を超えて進み、今後も更なる上昇が予測されます。現地で事業を営む企業において、採用やリテンションを検討する場合には、周辺相場の変化について正確に把握しておくことが、特に重要となる局面と言えるでしょう。

エネルギー価格の高騰がもたらす景気へのインパクトについては、比較的不況に強い産業(エネルギー、半導体、ロジスティクス)と大きく影響を受ける産業(自動車、化学)で濃淡がありますが、全体的には景気後退の方向性が顕著となっています。

一次的な景気後退に伴い新規求人数が減少し、更には人員削減を行なわざるを得ない企業も出てきているため、足元の採用市場の需給バランスが”買い手市場”へと転換しています。これまでの“売り手市場”において人材採用に苦戦していた企業にとっては、逆に今こそ良い人材を確保するチャンスとなり、積極的な募集を行なっている企業もあるようです。

いかに良い人材を確保するか

日本企業が認識しておくべきこととして、まず、残念ながら現地で日本企業の人気が決して高くない現状を踏まえ、魅力的な給与条件を提示することができるよう、周辺相場等に充分な目配りが必要であること、またそれだけでなく「選ばれる会社」になるためのポイントとしてフレキシブルな働き方を提供することの重要性が示されました。

例えば、コロナ禍によって全世界で一気に普及したリモートワークについて。ドイツでも、本格的に取り入れられるようになったのはコロナ禍がきっかけでしたが、再びオフィス出社へと回帰する傾向が見られる日本とは異なり、もはや「在宅勤務を認めないとドイツ人候補者は集まらない」状態になっています。現状、日系企業では「週2日の在宅勤務を認める」とするケースが多いようですが、リモートワークやフリーアドレス型のオフィスを前提に、オフィスを縮小する動きも始まっている状況です。

制度設計といったハード面に加え、歴史や価値観から見た「ドイツ人との付き合い方」といったソフト面についての解説も行いました。個人のもつ能力を適切に評価し、それに応じた仕事のアサインを行なうこと、業務量を踏まえた適切な人員配置を行なうことなど、過度な期待を排したセオリーに忠実なマネジメントを行なうことの重要性を伝える内容でした。

採用市場には、日本に好意を持つドイツ人やそれゆえに日本語をマスターした人材も少なくはないものの、だからといって働く場として日本企業を選ぶとは限らないため、よい採用やリテンションを行なうためには、国民性の違いについて歴史や思想に遡って深く理解しておくことが重要である点、再確認ができる内容です。

​欧州における採用でご相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください!