面接前に確認すべきこと
採用担当者向け 面接ガイド - 第1章 面接準備と進行の質が、候補者の印象と判断精度を左右する
面接は「質問」だけではない——採用成功のための3つの視点
採用活動において重要なのは、単に適切な質問をすることだけではありません。
どんな人材が必要かを明確にすること
→ 求めるスキルや人物像を事前に整理しておくことで、面接の焦点がぶれません。候補者にとって心地よい体験を提供すること
→ 面接の雰囲気や対応が、企業の印象を大きく左右します。予期せぬ展開にも落ち着いて対応すること
→ 面接が予定通りに進まない場合でも、柔軟に対応することで信頼感を築けます。
近年では、候補者自身も面接に向けて入念な準備を行っています。職務内容だけでなく、チームの雰囲気や面接官のリーダーシップなど、職場環境全体を評価の対象としています。
つまり、面接官の対応や面接の進め方そのものが、候補者にとっての「評価ポイント」となっており、企業の印象を左右する重要な要素となっているのです。
完璧な職務記述書がなくても、必要なことは「明確さ」 面接を始める前に、採用の目的や基準を明確にすることが重要です。完璧な職務記述書がなくても、以下のポイントを整理しておくことで、面接の質が大きく向上します。 整理すべき3つのポイント
不明点がある場合は、担当者や人材紹介会社と相談することで、市場との比較やミスマッチの回避が可能です。 理想的な候補者がすぐに見つかるとは限りません。だからこそ、「今後の成長や可能性」に注目する姿勢が、柔軟で効果的な採用につながります。 |
完璧な人材はいない——だからこそ「可能性」に目を向ける
面接時間の構成は「シンプルかつ柔軟に」
面接には、基本的な構成を持たせることが重要です。これにより、面接官の集中力を保ち、無意識の偏見を避け、すべての候補者に対して公平な機会を提供できます。
| 30分面接の基本構成(例) | | 時間が限られている場合は、3つのポイントに絞る |
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面接の雰囲気は「冒頭の一言」で決まる
接の第一印象は、冒頭の言葉で大きく左右されます。候補者がリラックスし、積極的に話せる雰囲気をつくるためには、最初の一言が非常に重要です。
対面面接
「本日はお越しいただきありがとうございます。今日のご様子はいかがですか?」
「まずは、本日の面接の進め方をご説明しますね」
「履歴書は拝見しましたが、現在の業務についてご自身の言葉で教えていただけますか?」
オンライン面接
「今日はどちらからご参加いただいていますか?」
「最近、面接は多く受けられていますか?」
「通信環境など問題ありませんか?」
こうした一言があるだけで、候補者は安心感を持ち、より自然なコミュニケーションが生まれます。面接官としての印象も、こうした細やかな配慮から形成されていきます。
表面的な情報ではなく「思考や価値観」に迫る質問を
履歴書に書かれている経歴やスキルだけでは、候補者の本質は見えてきません。面接では、思考力・コミュニケーション力・問題解決力など、実際の業務で求められる力を見極める質問が効果的です。
注目すべきポイント
意思決定力と柔軟性
→ 変化や困難にどう対応するかを見ることで、実務での対応力がわかります。チーム内での役割やコミュニケーションスタイル
→ 協働する上での姿勢や、他者との関わり方を確認します。組織文化との適合性と成長意欲
→ 自社の価値観に合うか、長期的な成長が期待できるかを見極めます。既存チームとの相乗効果
→ チームに新たな視点や力をもたらす可能性があるかを考慮します。
質問例
「計画通りに進まなかった経験について教えてください。その時どう対応しましたか?」
「あなたが最も意欲的に働ける理由は何ですか?」
面接中の「予期せぬ展開」にも柔軟に対応を
すべての面接が計画通りに進むとは限りません。だからこそ、柔軟な対応力が面接官には求められます。
想定される場面と対応例
| 開始直後に適合しないと感じた場合 | | 面接が順調で時間が足りない場合 |
| すぐに判断を下すのではなく、最低でも20分程度は継続し、候補者に敬意を持って接することが大切です。思わぬ形で魅力が見えてくることもあります。 | | 延長が可能かを確認し、難しい場合は前向きな形で締めくくり、次回の面談を調整しましょう。 |
候補者は、自分がどのように扱われたかをよく覚えています。特に、不採用となった場面では、その対応が強く印象に残ります。
面接の結果がどうであれ、候補者は企業から受けた対応を強く記憶しています。特に、不採用となった場合は、その時の言葉や態度が印象に残りやすく、企業イメージにも影響を与える可能性があります。
丁寧で誠実な対応は、たとえ選考に進まなかったとしても、候補者に「この会社は信頼できる」という印象を残します。逆に、冷たい対応や説明不足は、企業への評価を下げる要因となりかねません。
偏見を「自然に抑える」意識を持つ
面接では、無意識のうちに偏見が生じることがあります。公平な評価を行うためには、偏見を意識的に抑える姿勢が重要です。
| 注意すべき傾向
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「この回答が別の人から出た場合も、同じ反応をするだろうか?」
このような問いかけを自分にすることで、無意識の偏りに気づきやすくなります。
もし判断に迷いがある場合は、人事や第三者に相談することで、客観的な視点を得ることができます。
面接官は「職場の顔」であることを忘れずに
面接官は、候補者にとって企業の第一印象を決定づける存在です。面接を通じて、職場の文化や価値観、キャリアの可能性を自然に伝える役割を担っています。
企業が提供する価値(EVP:Employer Value Proposition)は、以下のような要素で構成されます。
成長機会
支援体制
チームメンバーの質
仕事の意義
こうした価値を伝える際は、営業的な説明よりも、面接官自身の実体験や思いを共有することが効果的です。
「私がこの会社で働いていて良かったと感じるのは、挑戦を応援してくれる文化があることです。」
このような言葉は、候補者の心に自然と響き、企業への共感や興味を高めるきっかけになります。
面接前のチェックリスト この職種で成功する姿が明確になっている 時間に合った基本構成を準備している 思慮深く、オープンな質問をいくつか用意している 面接時間が短すぎる・長すぎる場合の対応を想定している 企業を公平かつ自然に紹介する準備ができている 採用担当者に相談すべきタイミングを把握している |
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