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採用を迷ったときの考え方

採用担当者向け 面接ガイド - 第2章 完璧さではなく、可能性と相性を見極める視点

優れた採用とは、完璧な候補者を探すことではない

採用において重要なのは、すべての条件を満たす“理想的な人材”を見つけることではありません。不確実性がある中でも、冷静かつ公平に判断を進める力が、優れた採用につながります。

なぜこの視点が重要なのか?

面接直後には、以下のような状況に直面することがあります:

  • 印象に残った人物がいたが、他の候補者と比較して迷っている

  • 異なる強みを持つ候補者が複数いて、選びきれない

  • 「これだ」と思える人がいない

  • 何が足りないのか、はっきりしない

こうした状況では、採用判断が停滞しがちです。しかし、明確な答えが見えないときこそ、前向きに判断を進める姿勢が求められます。

優れた採用とは、完璧な候補者を見つけることではなく、不確実性がある中でも慎重に判断することにあります。

「チェックリスト思考」を捨てる

候補者は、履歴書の箇条書き以上の存在です。「すべての条件を満たしているか?」という視点ではなく、以下のような観点から可能性を見極めることが重要です。

  • 現時点で職務を遂行できるか?
    または、すぐに成長できそうか?

  • チームのバランスを強化できるか?
    既存メンバーとの相乗効果が期待できるか?

  • 洗練されていなくても、可能性を感じられたか?
    未完成でも、伸びしろがあるか?

優秀な人材でも、最初からすべての条件を満たしていることは稀です。完璧さではなく、影響力や成長の可能性を基準に採用しましょう。

構造化された評価を、人間らしく

構造化された評価は、面接における偏見を減らす有効な手段です。ただし、複雑な仕組みは必要ありません。重要なのは、一貫性とタイミングです。

シンプルな評価方法の例

候補者の評価を、以下のような主要分野ごとに整理してみましょう:

  1. 何を観察したか?
    → 具体的な行動や発言、エピソードなどを記録します。

  2. 反応の強さはどうだったか?
    → 1〜5のスコアや「弱い/普通/強い」などの簡易評価で印象を整理します。

  3. その判断に対する自信度は?
    → 自分の評価にどれだけ確信が持てているかを振り返ります。

面接直後にメモを残しておくことが非常に重要です。時間が経つと記憶が曖昧になり、印象に左右されやすくなります。

 

迷ったときはどうする?

面接後、異なる強みを持つ候補者がいて選びきれなかったり、好印象だったものの本当に適任かどうか確信が持てないことはよくあります。

そんなときは、以下の問いを自分に投げかけてみましょう:

  • 現在のチームに最も価値を加えられるのは誰か?

  • 市場で代替が難しいのは誰か?

  • 今この役割に最も適しているのは誰か?

これらの問いは、候補者の「可能性」や「相性」を見極めるヒントになります。

また、人材紹介担当者に率直に考えを共有し、意見を求めることも非常に有効です。彼らは市場全体の傾向や他社の事例を把握しており、客観的な視点からアドバイスを提供してくれます。

 

よくある偏見に注意

面接における偏見は、大きな声で現れるものではなく、静かに、そして無意識のうちに評価に影響を与えることがあります。公平な判断を行うためには、以下のような偏りに注意しましょう。

ハロー/ホーン効果一つの強い(または弱い)印象が、全体の評価に影響してしまう。

類似性バイアス:自分に似ているという理由だけで、好感を持ちやすくなる。

自信と能力は別物:洗練された話し方や堂々とした態度が、実際の能力とイコールとは限らない。

「この回答が別の候補者から出た場合も、同じ評価をするだろうか?」

 

イエスではないが、ノーとも言い切れない

面接後、強い印象はなかったものの、完全に除外すべきか迷う候補者に出会うことがあります。そうした場合は、即断せず、柔軟に次のステップを検討することが重要です。

判断に迷ったときの対応ポイント

  • 人材紹介担当者と率直に話し合う
    気になる点や不安を共有し、追加の確認やアドバイスを依頼しましょう。

  • 「次回、何を見聞きすれば自信を持てるか?」を考える
    次の面談で確認すべきポイントを明確にすることで、判断材料が増えます。

  • 適切なオンボーディングや支援があれば活躍できるかを検討する
    現時点で不足があっても環境次第で成長できる可能性があるかを見極めましょう。

「もしかして」の候補者が、最終的に最良の人材となることもあります。柔軟でありながら、自分に正直であることが、納得感のある採用につながります。​

フィードバックは明確に

人材紹介担当者が採用プロセスを的確にサポートするためには、面接後の明確なフィードバックが欠かせません。たとえ数行でも、具体的なコメントがあることで、迅速な対応や方向修正が可能になります。

共有すべき主な内容:

  • ポジティブ・ネガティブ両面の主な印象
    → 候補者の強みと懸念点をバランスよく伝えましょう。

  • 採用に対する自信度
    → 「ぜひ採用したい」「もう少し確認が必要」「現時点では難しい」など、率直な感覚を共有してください。

  • 次のステップとその理由
    → 前進・保留・除外のいずれかを明確にし、その判断に至った背景を簡潔に説明しましょう。

迅速なフィードバックは、急いだ判断ではありません。候補者とプロセスに対する敬意の表れです。

面接後の評価チェックリスト

面接直後の振り返りは、正確で公平な判断を下すための重要なステップです。以下の項目を確認しながら、評価を記録しましょう。

印象をすぐに記録したか?
→ 時間が経つと記憶が曖昧になるため、面接直後の記録が重要です。

行動や具体例に基づいて評価したか?(感覚だけでなく)
→ 実際の発言やエピソードをもとに判断することで、主観を減らせます。

自分の偏見を振り返ったか?
→ 無意識のバイアスが評価に影響していないか、冷静に確認しましょう。

人材紹介担当者に明確なフィードバックを伝えたか?
→ 強み・懸念点・次のステップを簡潔に共有することで、連携がスムーズになります。

迷いがある場合、判断を先延ばしせず相談したか?
→ 判断に迷ったら、率直に相談することで、より良い意思決定につながります。

面接や採用に関してお気軽にご相談ください。

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