面接を終え、採用担当者との面談も済ませ、ついに内定を受け取ったとしても、提示された給与が希望と合わなければ、「給与交渉」という新たな課題が待っています。
多くの方にとって、この場面は期待と不安が入り混じるもの。希望額を高く伝えすぎればオファーが撤回されるのではと心配になり、低く伝えれば長く不満を抱えることになるかもしれません。
しかし、給与交渉は必ずしも危険な橋を渡るようなものではありません。準備と敬意をもって臨めば、むしろ将来の雇用主との関係を強化する絶好の機会となります。
ここでは、自信を持って交渉に臨むためのポイントをご紹介します。
なぜ給与交渉は不安を伴うのか
「交渉したい」と思っていても、多くの人が実際には躊躇してしまいます。その理由には、次のようなものがあります。
市場相場の不確かさ:信頼できるデータがなければ、適正な金額が分かりづらいからです。
文化的な遠慮:国や地域によっては、金銭の話題が不作法とされることもあります。
拒否される不安:交渉が強欲と受け取られたり、他の候補者に切り替えられるのではと心配してしまうからです。
こうした不安を感じるのは自然なことですが、それが交渉を諦める理由にはなりません。
よくある場面と対応方法
1. 提示された金額が期待より低い場合
たとえば、希望額が700万円だったのに、提示されたのが650万円だった場合でも、まずは感謝の気持ちを伝えることが大切です。
「このたびはオファーをいただきありがとうございます。このポジションに非常に魅力を感じているのですが、業界の相場や職務内容を踏まえると、私としては700万円程度が妥当ではないかと考えております。その方向で調整の余地はございますでしょうか?」
前向きな姿勢を保ちつつ、根拠をもって希望を伝えることがポイントです。
2. 他社からもオファーがある場合
複数のオファーがあり、提示されたオファーよりも高額な場合は、丁寧に伝えましょう。目的は圧力をかけることではなく、自身の市場価値を示すことです。
「率直に申し上げますと、他社からもやや高い条件でのオファーをいただいております。ただ、こちらのポジションとチームに強く惹かれております。もし調整の余地があれば、第一希望として前向きに検討したいと考えておりますがいかがでしょうか。」
誠意を持って伝えることで、企業側にも対応の余地が生まれます。
3. 基本給は固定だが福利厚生に柔軟性がある場合
企業によっては、基本給の変更が難しい場合もあります。その際は、金額以外の条件に目を向けましょう。
交渉可能な項目例:
追加の有給休暇
ハイブリッド勤務やリモート勤務の選択肢
研修費用や資格取得支援
引越し支援など
これらの福利厚生は、長期的な価値をもたらす可能性があります。
4. 人材紹介会社を通じて交渉する場合
人材紹介会社を利用している場合は、交渉の主導を任せるのが賢明です。紹介会社は市場相場や企業の柔軟性を把握しており、候補者の希望を適切に伝えることができます。
給与交渉の「するべきこと」と「避けるべきこと」
するべきこと:
面接前に市場相場を調査する
金額の話をする前に、ポジションへの熱意を示す
自身の最低希望額(譲れないライン)を明確にしておく
避けるべきこと:
最終通告のような言い方をする
「何でもいいです」など、切迫感を出す
金額だけにこだわり、企業文化や成長機会を無視する
給与交渉は、わがままを言う場ではありません。自身の価値を認識し、企業との信頼関係を築くための大切なステップです。企業側も交渉を想定しており、敬意をもって臨めばオファーが危うくなることはほとんどありません。双方が納得できる条件でスタートを切ることが、良好な関係の第一歩となります。交渉方法に迷う場合は、コンサルタントに相談するのも一つの方法です。客観的な視点からアドバイスを受けることで、より納得感のある交渉が可能になります。
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