キャリアの成長と聞くと、多くの人が「昇進」や「給与アップ」を思い浮かべます。しかし、現代の職場では、昇進の機会が限られているケースも少なくありません。フラットな組織構造や厳しい予算の影響で、管理職ポジションが限られている企業も増えています。
それでも従業員は、自分のキャリアが前進しているという実感を求めています。もしその感覚が得られなければ、転職を考え始める可能性も高まります。そして、優秀な人材の離職は、企業にとって大きなコストとなります。
では、昇進に頼らずにキャリアを成長させるにはどうすればよいのでしょうか。その答えは、「肩書きに依存しない成長機会」をつくることにあります。
昇進よりも重要な「成長」の実感
従業員が本当に求めているのは、肩書きの変化ではなく、「自分が評価されている」「挑戦できている」「仕事が将来につながっている」と感じられることです。この感覚が失われると、モチベーションは低下し、業績にも影響を及ぼします。
朗報なのは、成長は必ずしも出世を意味しないということ。新しいスキルの習得、影響力の拡大、日々の業務に目的を見いだすことも、立派なキャリア成長です。
従業員が本当に求めているもの
では、昇進以外で従業員が求めている“成長”とは何でしょうか。多くのプロフェッショナルの声から、次の4つが浮かび上がります。
新しいスキル
新しいツールの習得、リーダーシップスキルの向上、異なる職務への挑戦など。学びの機会は、企業が従業員の将来に投資している証です。
認知と可視性
自分の貢献が上司や同僚に認められていると感じることは、成長の実感につながります。「見られている」という感覚は、モチベーションの源です。
肩書きに頼らない影響力
意思決定への関与やプロジェクトのリードなど、肩書きが変わらなくても達成感を得られる場面は多くあります。
目的と社会的意義
自分の仕事が企業の目標や社会的な価値に結びついていると感じることは、働く意味を深め、エンゲージメントを高めます。
昇進なしで成長を実現するためにリーダーができること
昇進が難しい状況でも、従業員の成長を支援する方法はあります。以下は、リーダーが実践できる具体的なアプローチです。
横のキャリア機会をつくる
部門横断のプロジェクトや一時的な異動を通じて、経験の幅を広げます。
学習への投資
資格取得支援、研修、メンター制度などを導入。小さな投資でも大きな効果があります。
ストレッチ課題を与える
新しいスキルを発揮できる挑戦的なプロジェクトを任せ、自信と能力を高めます。
成果を認め、称賛する
会議や社内ニュースでの紹介など、コストをかけずにできる認知は大きな効果を生みます。
仕事と目的を結びつける
自分の役割が企業の使命や社会的な目標にどう貢献しているかを明確に伝えます。
肩書きに頼らない成長が、組織を強くする
キャリアの成長は「上に行くこと」だけではなく、「前に進むこと」です。学びや影響力、目的を提供することで、従業員は肩書きが変わらなくても価値を感じ、エンゲージメントを維持できます。
肩書きに頼らない成長機会の提供こそが、優秀な人材を長期的に惹きつけ、組織の持続的な成功につながるのです。
そして何より、リーダー自身が「成長は肩書きだけではない」という姿勢を持ち、日々の対話の中でそれを伝えることが重要です。
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